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【移住インタビュー】(Vol 03)教育移住が起こり廃校だった校舎が250人もの子どもが通うまでに——大日向小学校・中学校校長へインタビュー。子どもが本来備えている学ぶ力を認め主体性を育む教育③

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投稿日:2026/4/30 更新日:2026/4/30
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    vol①、②はこちら
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    vol①:https://pitamachi.com/municipality/topics/5170
    vol②:https://pitamachi.com/municipality/topics/5270
    
    ――青山校長が、「公教育」の場でイエナプラン教育の実践にこだわるのはなぜですか?
    (青山)一つの学校を作っているようで、実は日本の国全体の教育や、その先50年、100年先の文化まで影響を与えられる可能性がある教育だと思っています。フリースクールじゃなくて一条校(正規の学校)にこだわっているのは、他の公立学校でも再現できることを示したいからです。私は公立学校でも明日からできると思っています。何か特別な環境やカリキュラムの準備は必要なく、マインドの部分なので。
    
    ――久保校長はこの学校やイエナプランにどう関わられてきましたか?
    (久保)私は福岡県で中学校の社会科教員を33年やっていました。50代のときにイエナプランと出会って、自己啓発のための休職制度を使って大学院で2年間研究したんです。そのときにオランダで、イエナプランの学校に実際に1週間ずっといたりして。
     
    ――オランダのイエナプランの学校のことを教えてください。
    (久保)子どもが主体的に学ぶっていうのは、こういうことなんだと実感として強く感じたのを覚えています。子どもが本当に大人の指示で動いてない。今日1日、自分はこう過ごすというスケジュールがその子の中にあって動いているから、教員がああしなさい、こうしなさい、今これしちゃダメでしょ、みたいなのが本当にない。でも皆忙しそうに自分の学びに向かっているんです。
    日本でも「主体的な子どもを育てましょう」という学校目標はどこにでも掲げられていますよね。でも、実際やっていることは、大人が管理して大人が指示することなんです。
    
    ――日本の教育現場で課題を感じていましたか?
    (久保)はい。教員を33年やって、私なりに面白い授業をしようと思って工夫してきました。子どもも「今日の授業面白かったよ」とか「イマイチだったね」とか評価して、私も1時間うまくいくと「ご清聴ありがとう」みたいな気分になったりして。
    けれども、これって子どもをお客さんにしてるなぁって。授業をわかりやすくって頑張ってるけど、本当に大事な力をつけてるんだろうかっていうことに、思い至ってしまったんです。
    
    ――それは、教員を始めてから何年目のことですか?
    (久保)50歳になるちょっと前だから、25年経ったくらいですかね。
    やはり、学校ってちゃんと子どもを管理するとか子どもに指示を出すっていう文化が強くあって、これじゃあ子どもの個性や主体性は育たないよなって思ってしまいました。
    
     ――オランダでは、どれくらいイエナプランが浸透してますか?
    (久保) オランダには約200校、イエナプランの学校があるんですけど、イエナプランでなくても、子どもを主体とした教育方針は浸透している。10校あったら1校は子どもを主体とした特徴のある学校なんですよ。その中の一つがイエナプランなんですね。 
    ただ、その残りの9割もこちらからの影響をものすごく受けているので、一方的に先生が教えるっていう授業のスタイルは探す方が難しいと聞いています。
    (青山)ワールドオリエンテーションなんかはイエナプランから始まったと思うんですけど、それがオランダのいろんな学校でやられるようになったり、国のカリキュラムにも影響を与えていることを考えると、そこにイエナプランと他の学校って壁があるというよりか、緩くお互いに影響を与えながら存在しているみたいな感じだと思います。
    
    ――廃校を学校として再スタートさせるとき、地域の方や町にすぐ受け入れてもらえましたか?
    (久保)満場一致だったそうです、議会で。でも地元の方々にとっては、自分たちの卒業した学校だったり、お孫さんが通っていた学校だから、いい加減なことはしてほしくないという想いが当然あります。
    そこで、設立準備財団メンバーは地域の各区の公民館で、20人ずつぐらいに丁寧に説明をしたんです。
    「廃校になった校舎を見るのは忍びない。そこにもう一度子どもの声が響くのならば」という思いを皆さんお持ちでした。それもあって、不安はあったでしょうが、大きな反対はなかったと聞いています。また学校になる、というのも印象もよかったのでは、と思います。
    
    (青山)廃校を商業施設にする例は結構あるけど、廃校をもう一回学校として使うっていうのは珍しいかもしれないですね。
    (久保)どんなもんだろうな、というのは当時は当然あったと思います。6年経って、地域の方と話したときに「どうせ3年ぐらいで失敗して出ていくんだろうと思ってたけど、そろそろ本物かな」って言ってもらえたこともあります(笑)。
    7年経つとやっぱり地元からも、ああ、あの学校ねって受け入れられ始めてきましたね。でもね、まだ丁寧にやらないと。私たちのやっていることで、ここだけが特別な場所になりたいわけじゃない、そのことも分かってもらいたいから。

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    ――ここだけが特別な場所になりたいわけじゃない・・・
    (久保)そうです。新しいやり方とは思いますが、特別なことをしているわけではないので。最初に青山さんが言ったように何か特別な施設やカリキュラムの準備が必要なのではなく、大人がマインドを変えることをやろうとしている。それで子どもの姿で証明できれば、他でも広がっていく取り組みになると思います。
    
    ――学校ができて子どもの数はどう変わりましたか?
    (青山)廃校になった当時が50人ぐらいで、今は小中学校合わせて250人ぐらいがここに昼間集まって学んでいます。
    佐久穂町長が以前、減った子どもの人数が元の水準に戻ったってことをおっしゃっていました。少子化の時代になかなか珍しいことらしくて。学校がもう一回学校になるっていうのは、町にとってもすごく喜ばしいことだって言ってくれてました。
    
    ――子どもの家族が長野県に移住してくるケースが多いと聞きました。
    (久保)ここに来てくれる保護者はみんな、移住までして子どものためにって方々ですが、保護者自身も人生楽しもうっていう方が多いのも特徴かもしれないですね。子どもの教育のための目線だけじゃない、自分たちも楽しもうって。
    子どもの成長も大きな目で見ている保護者が多いので、学力どうなんだろうとか心配してらっしゃる方もいると思いますが、きっとここで子どもたちはしっかり自分で学ぶ力、主体的に生きる力を身につけているって信じてくれているところがすごくありがたいですね。
    佐久平から東京まで新幹線で1時間ちょっとというのもあって、佐久平駅の近くのマンションを購入して、都内へ通勤というご家族もいます。佐久平駅から学校まではスクールバスが出ていて、片道30分です。
    (vol④に続く)

    大日向小学校・中学校と地域との関わりの様子(HPより)

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