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「これからいろんなことができるな」って思える
——Uターンで仕事や暮らしはどう変わりましたか? 碓井:夜がちゃんと真っ暗になる、ってことですかね。渋谷で働いていたときは、街は24時間どこも明るくて、街のビルを見れば、どんな時間でもいつも誰かが働いていました。それが普通だと思っていたし、自分がのろまだと感じて、その分頑張らないといつも気を引き締めていました。東京のペースに追いつかなきゃというのもあって。 でも静岡に戻ってきたら、22時頃からお店は閉まってきてだんだん外が真っ暗になりますよね。それを見たときに、「あぁ、夜が暗い、早く帰ったほうがいいかな、そりゃそうだ」って、すごく納得できたんです。それが「健全な判断」だと思えて。 東京にいた時は、仕事と暮らしを完全に切り離していて。というか、若かったのもあって「暮らし」のことを考える余裕があまりなかったです。 でも今は、仕事と暮らしが隣接している感じで、いっしょに考えられてます。結婚もして、将来のことももっと考えられるし、どういうライフプランがあるか楽しみです。それを考えながら、仕事ができる感じです。 ——ゆとりが持てているってことですか? 碓井:本当にそうだと思います。今自分が年齢を重ねたということもあると思いますが、前は、なんだか毎日忙しいな、休日になったら気晴らしに遊びに出かけて、帰ってきたら、また仕事だって、割とずっと仕事のことが頭にあってという感じでした。 今は、仕事合間のふとした瞬間に「今日は頑張ったから夕飯、どうしようかな」とか「空、雲がなくてすごく青いな」と少し肩の力を拭くことができます。仕事かプライベートか、じゃなくて、どっちもいつも一緒に考えられる余裕ってことなんですかね。当たり前のことかもしれないけど。 ——今の自分の方が好きですか? 碓井:うーん。今の方が自信があるかもなって思います。東京でのことも含めてたくさん経験をさせてもらったことが、誰かの力になってるっていう蓄積がこの地域で持てました。私なんかが出向してもって思っていたけど、こうして佐藤さんが褒めてくれたり、みんなから「良かったよ」って言われたりして、静岡で働くってなんだかいいなと思えました。 ——東京時代と今で、仕事の変化があれば教えてください。 碓井: 今の会社は地域密着で地元企業や自治体をクリエイティブでご支援するデザイン会社です。東京時代との変化は、より顔の見える相手と仕事をしていることです。 例えば、地元の食品メーカーさんのパッケージデザインを一緒に考えたり、新商品の企画会議に参加すると、実際にその商品を作られた方や生み出した経営者さんに「このデザイン、いいね」と直接、ご意見や感想をいただきます。その距離の近さがいいなって思います。 そういうのは東京時代にもなかったわけではありませんが、より距離の近い関係を築くことができていると思います。だから、自分でも自分を少し認めてあげられるようになりました。 でもそれって、東京での経験があったからです。企画から実行までスピード感をもって進めるという経験が、今の私の土台になっています。
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今後のこと
——静岡で働き始めて5年ですが、今後のことや今考えていることがあれば教えてくだ さい。 碓井:なんだか「これから、もっといろんなことができるな」って思います、漠然とですけど。 なんていうのかな・・・東京にいたときよりも私が大人になったということももちろんあると思うんですけど。この生活を続けたいなとか、逆にいろんな挑戦もできるなとか選択肢がいろいろある感じです。何してもいいんだなっていう。この地で住みたいと思いますし、でももし将来また別の地域に移住したくなっても、それでもいいなって。海も富士山もそうですが、自然の景色に囲まれて、心地よい環境で自由に選択肢を持てることが豊かだなっていう気持ちです。 ——碓井さん、ありがとうございました。 取材:小田和賢一
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