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「田舎暮らし」という言葉もよく聞かれるようになりましたが、近年では都市部から地方移住をする若者や子育て世代が増えています。都会の喧騒や人混み、長く続くコロナ禍に疲れを感じ、この機会に移住して心に余裕を持ってゆったり暮らしていきたいと考える人が増えているようです。 特にずっと都会で生活してきた人は、これまでの都会生活と変わらない利便性があるため暮らしのギャップを感じづらく、物価が安い、少し郊外に出れば豊かな自然にアクセスできるなど、都市と田舎のいいとこどりができるという点で、地方都市を検討する方も多いでしょう。 今回は地方都市への移住を考える上で確認したいポイントや選び方に加え、移住者希望者に人気な地方都市のランキングトップ10をご紹介します。 ■地方都市に住む魅力 地方都市の魅力、それは過疎地域と大都市の中間的な性質です。以下、地方都市の魅力的な点を見ていきましょう。 ・過疎地域に比べ生活に必要な施設が揃っている 地方都市は過疎地域に比べると、生活するうえで便利な施設が揃っています。例えば、銀行や郵便局・病院・スーパーマーケット・飲食店やクリーニング店・各教育機関(小学校・中学校・幼稚園・保育園)・コンビニエンスストアなどが挙げられ、そうした公共施設の種類や数が豊富です。 一方、過疎地域では、公共施設の数が少なく、自分の住まいから近いとは限らないので、不便に感じることがあります。公共交通施設の数が少ない分、そうした場所へアクセスしづらい地域が多いのです。 ・交通網が整備されている 過疎地域と比較すると、広く整備された道路が多く、電車やバス・地下鉄など公共交通機関も充実しています。交通手段が多い分、移動に困ることは少ないです。 ・住宅費が安い 首都圏と比較してみると、同じ間取り・部屋の広さであっても、地方都市の方が、住宅費が安いです。毎月の家賃が安いのは、経済的にも助かりますし、家計に余裕をつくることができます。 ・治安が良い 地方都市は三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)の都市に比べると、犯罪数が少ないというデータが発表されています。大きな犯罪はもちろんとして、泥棒や空き巣も少ないのは、安心して生活するうえで大切な要素です。 ■地方都市に住む際の注意点 では、地方都市に住むにあたって、注意するべきポイントはいったい何でしょうか? ・仕事の選択肢が少ない可能性がある 大都市と比較すると、どうしても選べる仕事の幅が少ないことが考えられます。たとえ、求人があったとしてもそれが必ずしもやりたい仕事とは限りません。首都圏など都市部であればあるほど、職種は豊富にあり、求人数も多く、仕事の幅は間違いなく広がります。地方移住をする際は、ご自身の仕事のことも含め、柔軟に考える必要があります。 ・車が生活必需品になることがある これは、ご自身の居住地によって異なりますが、生活に必要な各施設へアクセスするにあたって、自動車が必需品になる可能性が高いです。名古屋市・大阪市・首都圏などの大都市部は、交通機関が非常に発達しているため、自動車がなくても公共交通機関で自由に移動することが可能です。 しかし、地方都市は大都市ほど公共交通機関が発達していない場所もあるため、個人用の移動手段が必要です。車を持っていない場合、車の購入費や維持費が別途かかってしまいます。これまでの生活環境で車の運転に慣れていないと、不安やストレスも大きいでしょう。運転免許がない場合は、免許の取得が新たに必要になります。 ・子どもの習い事や通う学校の特色が画一的な場合がある 現在子どもがいる、あるいは今後子どもを考えている方は、子どもの教育としてピアノ・英会話・習字・スポーツ関連など、いろいろと習い事をさせたいと考える人も多いでしょうが、地方都市は大都市より、選べる教室や施設が往々にして少なく、選択肢が限られてしまう可能性があります。 また地方では、地元の小学校や中学校に通うケースが多く、小学校受験や中学受験は一般的ではないため、留学や大学進学など、長い目で見たときの選択肢が少なくなる場合があります。 ■移住する地方都市の選び方 地方都市に移住する場合、移住先の選び方はどうすればよいのでしょうか。 ピタマチ事務局では下記の8つの軸で移住先の地域を検討することをおすすめしています。 ・利便性で選ぶ スーパーマーケット・病院・学校など、生活に必要な公共施設へのアクセスが良い地域を選んだほうが何かと暮らしやすいですよね。特に子どもがいる場合、学校や病院へのアクセスの良さは重要なポイントです。子どもにとって学校は、ほとんど毎日通うところですし、病院に行く場合は急を要することもあります。日々の食料の買い出しにはスーパーマーケットは欠かせません。 あるいは職場へのアクセスの良さで選ぶのも良いでしょう。居住地から職場が近ければ、通勤時間は短縮でき、自分の自由な時間を増やすことができます。また、勤務地の指定がなく、インターネットがあれば仕事ができたり、移住後もテレワーク等で現在の業務を継続するといった場合は、コワーキングスペースやシェアオフィスなどの設備・施設を整えている地域を検討してみると良いでしょう。 ・地域コミュニティで選ぶ 地域のコミュニティを見て選ぶのも重要な観点です。移住先では頻繁にご近所さんとの関わりがあるのか、同世代の友だちがつくりやすいかなど、地域での人々との関わり方等については、先に移住した人の体験談やSNSでの発信をみると参考になるでしょう。 また、先に移住した人が継続して生活しているかどうかも自分の10年後、20年後をイメージする上で重要です。 自治体の移住希望者用の窓口や、移住支援のサイトから先輩移住者の声、移住者の定着率や世代などを確認してみましょう。 例えば京都府では移住を勧める団体・サイトが発達しており、実際に一度現地に見学に行き(オンラインの移住相談もあり)、移住して長く住んでいる人の体験談を会ってじかに聞くことができます。こうした生の声を聞くとその土地のメリット・デメリットも明確になりますし、田舎暮らしに対するイメージも具体的に膨らんでくるでしょう。 ・地域特性で選ぶ その地域の環境や文化・風習が合うかについてもしっかりと吟味しましょう。気候や地域ならではの風習・言葉(方言)など、自分自身では変えることができない要素、受け入れていかねばならない要素が地域ごとにあります。そのような要素をよく考慮し、精神的にも身体的にもストレスなく暮らしていけるか判断しましょう。 ・子育て環境で選ぶ 子どもがいる世帯は、保育園、幼稚園、学校の数やアクセスの良さなど、子育て環境を重視することが多いでしょう。夫婦共働きなら、子どもを受け入れてくれる時間や延長保育が可能かどうかが特に大事な要素です。学校の校風なども聞けるのであれば、参考にしたいものです。そして、公園などの思い切り遊べる環境も大切な要素で、近くにどれだけ緑が多く遊具のある公園が存在するかは重要かと思います。
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・はたらき方で選ぶ 地域によって盛んな産業は異なり、自治体によっては様々な働き方に合わせた支援制度を設けているところもあります。テレワークや副業、フリーランス、起業などを支援する試みが行われているところがあるので、ご自身の働き方に合わせて詳しく調べてみると良いでしょう。一例を挙げると、熊本県熊本市の創業サポート資金、千葉県勝浦市の移住支援事業支援金制度などあります。 ・自然環境で選ぶ 海が近いところがよいのか、山が近いところが良いのかなど、その地域の自然環境で選ぶのも重要です。アウトドアな趣味がある場合は、地域でその趣味が実現できるかも確認してみましょう。また、町工場など工業地帯であれば騒音の問題もありますので、その点も注意しましょう。 ・ライフスタイルで選ぶ 地方移住の形はあなたや家族のライフスタイルによるところも大きいでしょう。仕事などで頻繁に他の地域と行き来したいなら駅近で、趣味があるならその趣味が楽しめる環境で、など、毎日の過ごし方を照らし合わせて検討することが重要です。ずっとその都市に住み続けるのか、または一定期間だけ、子供が成人したら都会に戻るという考えもあるでしょうし、週末だけ移住してリフレッシュしたいという考えもありです。 ・住まいで選ぶ 地方都市は大都市圏より家賃が安い傾向にありますが、どういった住居に住みたいのかも考えましょう。一軒家で古くてもいいから広々した家に住みたいのか、それとも比較的管理が楽なアパート・マンションがよいのか、庭つきがよいのか、ペットは一緒に住めるのかなど、まずは自分の希望を確認してみましょう。都心部に比べると、地方都市は賃貸でもリフォーム可能な物件も比較的多いため、自分でデザインしてより良い住まいにしたいと考える人には、リフォームできる物件が多いエリアを探すのもひとつの方法です。 あなたが移住先探しで重視するべき軸とおすすめの地域がわかる「理想の暮らし診断」はこちら ▶ https://pitamachi.com/diagnose/desc ■移住におすすめの地方都市ランキング 移住相談件数が多く、移住希望者に人気な都道府県はこちらの通りです。ランキングを参考に、自分に合った地方都市を探してみましょう。なおデータは、総務省令和2年度の各都道府県及び市町村の移住相談窓口等における相談受付件数等を調査し、相談件数の多い順に10都道府県を抜粋しています。 1位長野県 標高3000m級の山々に囲まれた自然豊かな県です。東京-長野間が最短で1時間30分程度と東京からのアクセスもよく、温泉地やスキーや登山、キャンプなどのアウトドアアクティビティに訪れる観光客も多い人気の都道府県です。移住希望者からの人気も高く、宝島社発行の「田舎暮らしの本」が発表している「移住したい都道府県ランキング」では16年連続1位を獲得し続けています。市町村数は77あり、長野市や松本市、上田市が主要な都市です。長野県では、県外に居住しており、県内に事業所などの拠点を設けていないIT事業者を対象として、県内に最長 6 か月程度お試しで住んで働いてもらう「おためしナガノ」という支援施策を実施しています。企業だけでなく、フリーランスで IT 関連の事業を行っている方も対象となるので、いきなりの移住やオフィス開設までは難しいと感じている人は、必見のお試し制度です。引っ越し代や家具・家電・自動車のレンタル料、コワーキングスペースの利用料、業務用の交通費などの補助を1人あたり最大30万円まで受けることが出来ます。長野市、上田市、松本市などの主要都市を含む全21市町村が対応しています。 2位福井県 福井県は北陸地方の最南端に位置し、東側が日本海に面しています。全47都道府県幸福度ランキングでは4回連続1位を獲得しており、とても暮らしやすい地域であることが分かります。人口当たりの医療施設が多く、教育水準も高い県として知られます。市町村数は17あり、主要な都市は福井市です。福井市に移住し、正規雇用で就業または起業した人を対象に移住支援金を支給しており、市内で就業または起業した人は、単身で1人あたり10~15万円、単身者以外の世帯では1世帯当たり20~30万円支給されるようです。また、子育て世帯については、第3子以降の子ども(中学生以下の子)一人につき5万円加算があるということなので、子育て世代の方は必見です。 3位福島県 全国でも3番目の面積の広さを誇ります。東西に長いため、エリアごとに大きく気候や風土が異なるようです。市町村数は59で郡山市、いわき市、福島市が主要な都市です。県内の全市町村で18歳以下の子供の医療費が無料化されるなど、子育て世代への支援が手厚い地域であるといえます。また、福島市では、福島市定住交流課に継続して移住相談をした方、福島市が参加する移住フェアや移住体験イベントに参加した方など、特定の要件を満たす場合に4つの公衆浴場の入浴料が最長3年間無料となる湯めぐりパスポートを贈呈するなど、ユニークな取り組みもしています。 4位石川県 北陸地方の中央に位置し、日本海に面した位置にあります。市町村数は19で金沢市が主要な都市です。近年、北陸新幹線が東京-金沢間で開通したことから、交通の便が良くなり、首都圏の方もアクセスしやすくなりました。観光やビジネスも活性化し、求人も増加したようです。金沢市には、昭和25年以前に建築された町屋などの木造の歴史的建造物が約6000棟現存しています。町屋の保全を目的として、「金澤町屋情報バンク」が開設され、町屋物件情報を公開しています。特定区域の町屋の修復費の補助があり、UIJ加算もあるため、町屋暮らしをしてみたい方は必見です。 5位兵庫県 北は日本海、南は瀬戸内海に面する、南北に長い県です。中央部には中国山地があるため、日本海側と瀬戸内海側では気候も大きく異なります。市町村数は41あり、神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市が主要な都市です。移住相談窓口「カムバックひょうごセンター」を神戸と東京に設けており、専門の移住相談員を置いて関西圏・東京圏での移住情報の発信拠点として活動しています。神戸市では、「はたらくKOBE」という制度で神戸市内に就職・転職する単身世帯で対象物件への入居者を対象に月額最大10,000円を支援します。また、その後新婚世帯向けの支援施策「ハッピーウェディング支援」や子育て支援施策「すくすくジュニア支援」の対象住宅に転居すると、さらに月額5,000円が支援されるなど、ライフステージに沿った支援施策を行っています。 ■地方移住するにあたって どうして移住したいのか、何が目的なのか、気候・風習や方言など、どこまでなら自分自身が受け入れられるか、線引きをしっかりとして、住みたい地方都市を選定することが大切です。まずは「理想の暮らし診断」で自分が移住先探しで重視していることとおすすめの地域を診断してみましょう! ▶理想の暮らし診断はこちら https://pitamachi.com/diagnose/desc
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