-
対談<加藤 大雪さん×木村耕紀さん> 加藤さん 神奈川県→王滝村 / 集落支援員 / 移住した年 2023年 木村さん 千葉県→木曽町 /集落支援員/ 移住した年 2015年 アウトドア好きと友人の誘いがきっかけに 加藤: キャンプやアウトドアが好きで古民家や別荘を探す中で、初めて王滝村に来ました。その時に見た家を、村の空き家バンクを介して購入し、修繕しながら暮らしています。仕事は移住サポートセンターでバスの運転手を紹介してもらい、空いた時間は集落支援員として草刈りや除雪作業をやっています。今は山の中に暮らしているので、生活そのものがキャンプみたいです。 木村: 私は友だちが先に移住していて面白い所があるよ、と誘われて来ました。それから地域おこし協力隊になって、空き家を紹介していくうちに、これは続けていかないとと思うようになりました。町の成人式やイベントを撮影する映像の仕事もしています。人とのつながりで仕事の依頼がくるのでうれしいですね。地域で必要とされていると感じ、「ありがとう」と言われる。私は、自分のやっていることが人に必要とされているかどうかということを大切にしているんです。子どもと遊ぶ時間も含めて、今はやりたいことが全部できるようになったので、ここにずっと住み続けられるなと思うようになりました。 加藤: バスの運転をしていると、日常的にお客さんと1対1になるんです。「朝早く迎えに来てくれて助かったわ」「おかげで病院に行けるよ」という言葉も。お父さんお母さん世代の人たちを乗せていると、その息子さんや孫世代の方とも、だんだんつながっていきます。消防団に入ってるんですが、狭いからみんな知り合いという環境です。 木村: 消防団の活動は大事だと思います。将来は社長となり地域経済を支えていくような人がいたり、もちろん同世代や同級生がいたりする。仕事だけでは絶対つながれないような人たちとつながることができます。 方向性を決めたら、あとは柔軟に対処を! 木村: いろいろな移住者に言うんだけど、自分の道をはっきり決め過ぎると、つまらないし、つらくなる。方向性や生き方を決めておくぐらいがいい。いろいろな可能性を持っていた方が力が抜けるし、少し待ってみることも必要。自然との関わりが深いから思い通りにいかないし、スピードが遅いと感じる時もあるけれど、自分でしっかり考えて動く波に乗っていけば別に気にならない。木曽の人は深く考えることに慣れていて、その姿勢からすごく教わったし、その生き方は大自然を相手に対処しながら生きている木曽ならではの特徴という印象があります。 加藤: なるほど。住んでいる家の改修は、うまくいってる感覚はないですね(笑)。 腐っていた柱を2mほど替えたり、薪ストーブ用の煙突を通したり。その都度トラブルが起きて、どう対処するか考えています。これからの方向性については、キャンプ場をやってみたいと思っています。 木村: いいね。キャンプをしたい人は多いと思う。住んでみると大変なんだけど薪割りをやってみたいという都会の人もいるし。だからバスの運転手と両方やったら面白いかな。生活基盤をつくる仕事と、自分の楽しみとしての仕事と。 加藤: そうですね。僕はキャンプ場を、楽しいだけじゃなくて、自然の中で暮らすノウハウを伝える施設にしたいと考えています。森から木を切って薪を作ったり、小屋を建ててみたりとか。農地を作るとかでもいいんですが、単に1泊、2泊するキャンプ場ではなく、通年で楽しめるようにしたい。木曽に来て、支障木の伐採や有害鳥獣駆除の仕事もしているんですが、山の近くで成立している生活システムを吸収して、そんな暮らし方を伝えていける場所にしたいんです。 木村: 外から来た若い人が、森林を活用してきた文化や歴史を継いでいってくれるのは、地元の人も喜ぶんじゃないかな。10年住んで感じるのは、上の世代との付き合いが多い中で、同世代を探すことが大事だということです。1人でも2人でも同級生がいるだけで、なんかほっとする。同じ地域で、同世代が働いているだけで、仲良くなれる可能性もあるし。お互い気楽だったりしますよね。その上で、伝統だったり技術だったり木曽らしさを記録して、伝えていくことを大切にしたいと思っています。
ログインとユーザーネームの登録が必要です。