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「自然がある小学校に通わせたい」が発端の二地域居住
篠笛・神楽笛奏者の秋吉沙羅さんは、東京都あきる野市の新居で快哉を叫んでいる。夫の仕事のため、新宿区のマンションを残しながら、自然の中で暮らす二地域居住をしている。 きっかけは、長女の小学校入学。新宿区の小学校の周りはコンクリートの建物ばかり。校庭は人工芝。 秋吉さんの実家は、広島市安佐南区。自然豊かな環境で育ち、都会の小学校通学の様子に「正直しっくりこない」と思った。当初は、地方との二拠点を考えていた。しかし、遠すぎる。都内でも奥多摩に行けば、自然がいっぱい。友人の勧めで、ふるさと回帰支援センターを訪れ、あきる野市を紹介された。 2024年3月初め、現地に行くと、市役所の担当者が親切に案内してくれた。 最初はスーパーや学校が近くにある便利な場所を案内されたが、「理想はもっと緑があるところ」と伝えると、山あいにある養沢地区に案内してくれた。名勝・秋川渓谷に流れ込む養沢川の両岸だった。そこには、新居候補の空き家もあり、「ここしかない」と決断すると、あとはとんとん拍子。3月末に荷物を運び始め、二地域居住に入った。
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ゆったりとした人のつながりにも大満足
新生活は「イメージ以上」だという。家のそばに畑があり、ナス、キュウリ、トマト、サトイモ、ジャガイモなどがふんだんに採れる。種まき、収穫、草刈りと、それなりに面倒だが、それも苦にならない。都心で育った夫も、畑仕事にはまり、週末には慣れぬ手つきでクワをふるっている。二人の娘も大喜びで、採れたての野菜をその場でかじって、「おいしい、おいしい」と満面の笑顔だ。 秋吉さんは広島にいた五歳の頃から笛の演奏を始め、国内はもとより海外の舞台にも立つ演奏家。「最高の環境」というのは、練習の舞台が激変したからだ。マンションでは、音が漏れるので、自宅では練習できなかった。今はそれができる。時には昼間、河原を訪れ子どもたちを遊ばせながら笛を吹く。今までの都会生活では考えられない贅沢だ。 田舎の生活は、土地の人との付き合いで暗礁に乗り上げることが多いが、秋吉さんは「そんなことは全然ない」という。マンションでは隣の人のことは全く知らなかったが、あきる野市では、余った野菜を譲り合うなどで、「顔の見える関係」になった。 都会の友人は、「ものをもらうとお返しが大変じゃない?」という。しかし、田舎では、「余り物のおすそ分け」がメインで、その緩やかな人間関係も心地いい。地域の行事に参加するごとに、知り合いも増え、毎日誰かと挨拶や会話があるという。「これって、防災にはとてもいい」と秋吉さん。近所の人の顔と名前が一致して、どんな人かもわかっているからだ。地域の女性が活動する生協のイベントに参加した際、「ママ友」もでき、ますます充実してきたという。 新居は、二階建てで部屋は八室。四月には長女の友達が来て二十人で泊まった。秋吉さんは二十人分の食事を作るので大忙しだったが、「こんなことは、マンション生活ではできない」とにこやかに振り返る。 都心に比べると家賃は安価。都心まで1時間で行ける。不満なのは、家が川の近くで、湿気が多いことぐらい。 「最高の選択でした」と、秋吉さんは大満足だ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 🌟詳細はFURUSATOで読むことが出来ます ▶FURUSATO https://www.furusato-web.jp/iju-story/p166620/
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